私が西伊豆健育会病院に入職して10年が経ちました。
前職では療養病棟や外来などさまざまな部署を経験し、現在は地域包括ケア病棟で勤務しています。地域包括ケア病棟では、入院中の治療やケアにとどまらず、患者さんが退院後も安心して生活を続けられるよう支援することが大切な役割です。
印象に残っているのは、在宅での生活を強く希望されていた患者さんを担当した時のことです。ご家族も自宅での介護に不安を抱えていましたが、多職種で協力しながら、退院支援を重ねました。私は看護師として、褥瘡予防、日常ケアの方法を繰り返し丁寧に説明し、実際に練習してもらう機会を作りました。
退院後の生活が少しでもスムーズにいくように、在宅サービスとも情報共有を行い、支援体制を整えました。こうしたチームの力によって、患者さんは無事に自宅へ退院され、ご家族から「この病院で最後まで諦めずに支えてもらえて良かった」と感謝の言葉をいただいた時には、胸が熱くなりました。

「断らない医療」という病院の理念のもと、患者さんの想いを受け止め、どうすれば“その人らしい生活”を続けられるかをチーム全体で考えること。それが私にとってこの病棟で働く最大のやりがいです。
これからも多職種と協力しながら、一人ひとりの患者さんとご家族に寄り添い、安心して地域で暮らせる医療を提供し続けていきたいと思います。